★ラタエンディング後、クラ←ロイ←エミ寄りのような長編。ロイコレエミマルで旅をしております。
☆残念ながら管理人はラタ未プレイなので、違うところがありますが、あしからず。





辺りはもう、真っ暗だ。何をも沈黙へと誘う暗闇。今吹いている風がやんでしまえば、ここは無音の世界になってしまうんだろうか。そんな事を思った。
今回の旅に同行している少女二人は、寄りそう様にして、既に寝息をたてている。今日はいつもより働いたと思う。きっとその疲れがでたんだろう。
自分はまだ、どうやら眠れそうにない。何故か目が冴えてしまっているのだ。勿論、自分も彼女達と同じように働いた。けれど、眠れない。
何度も床へと着き、眠ろうとしたが眠れなかった。何故だろう。……そうだ、考えなくてもわかっている。原因は目の先に居る、彼だろうとは思っていた。
誰よりも長く起きていて、誰よりも早く起きている彼。何度、眠くないのか、そう尋ねても返ってくるのは否定の言葉だけ。
一度として、肯定の、それを思わせるような言葉が返ってきた事はない。本人が否定している以上、それ以上踏み込む事ができず、終わる会話。
ふと、彼を見れば。──ああ、また。彼は夜空を見上げている。そこには、無数の星しか輝いていないのに。その先を見つめる様な瞳はいつもと変わっていない。
最初は、彼はきっと星が好きなんだ、そう思っていた。けれどいつからか、毎夜彼を見る度それは違うのだと気付いた。それ以外の理由がある事に気付いたのだ。
自分も同じように夜空を見上げるけれど、そこにはやはり、星しかない。いや、もうひとつあった。星以上の存在感を現す、月。
彼は月を見ているのだろうか。そう思った。けれど、違う様だった。自分には見えない何かが、彼には見えているのだと気付いた。それが何なのかなどはわからないけれど。

「ロイドは……星を見るのが好きなんだね」

違うとわかっていたけれど、あえて間違った言葉をエミルは言った。どういった答えが返ってくるだろうか。否定?肯定?それとも、また違った答えだろうか。
ロイドの視線が夜空から外された。ゆっくりと、けれど確実にその視線はエミルを捉えていく。視線と視線がぶつかると、ロイドは少し困った様に笑った。

「そう、…かな?」

ああ、やっぱり否定も、肯定もしてこなかった。まるで、そんな答えが返ってくるとわかっていた様な感じがした。きっと、心のどこかでわかっていたんだろう。
エミルはロイドから視線をはずし、さきほどのロイドと同じように夜空を見上げた。……やっぱり、この空は変わっていない。当然の事なのに、どこか安堵する自分がいる。

「そうだよ。だって、いつもロイドを見ると空を見てる」
「そ、っか……」

納得できない様な。けれどもロイドは頷いた。もしかして、故意ではないとしたら、無意識に彼は空を見上げていたのだろうか。そんなに星が好き?……違う。

「俺、小さい頃はよく星を見てたんだ。だから、かな」
「そうなんだ」

彼はいつも、そう『いつも』空を見ていた。…空に星が輝いていなくても、雲で覆われていても、雨が降っていても。……何も見えなくても。

「……ロイド」

今日のエミルは、少し違っていた。何かを知ろうと、答えを導き出そうとする。少しでも、彼の事を知りたいから。少しでも、彼の中の自分という存在を大きくしたいから。

「ひとつ、聞いてもいいかな」
「……ん、なんだ?」

ロイドはいつも様な笑顔でエミルを見た。エミルも空から視線を外し、まっすぐにロイドを見る。その、あまりにも真剣な目にロイドは少し驚く。
そんなロイドの心情を察したのか、エミルはふっと微笑んだ。

「前から気になってたんだけど……ロイドがエクスフィアを集める、本当の理由。聞いても、いいかな」
「本当……の、か」

エクスフィアを集めるというのが、今回の旅の目的。だからこそ、気になるのだ。
エクスフィアが人の命でできているという事は知っていた。それは決して世の中に、当然の如く存在して良いものではない。
誰の手にもわたっていないエクスフィアが、何も知らない人の手に渡ってはいけないのだ。だからこそ回収をする。けれど、これは推測だけど、きっとそれは建前なのだろう。
それがひとつの真実、理由だとして。かならずもうひとつ理由があると、エミルは思っていた。

「……約束、なんだ」
「約束……?」

重い口をやっとの思いで開いたロイドに、エミルは首をかしげた。約束…?誰との約束だろうか。それは少なくとも自分が深く知る人物ではないという事しかわからない。

「あいつはあいつの、俺は俺の。やるべき事をやる、ってさ」


あいつといわれて、いまいちピンとこない。それもそうだろう。世界再生……今から約3年前にこの地上にいた人物なのだから。
ロイドがそのエミルの表情を見て、言った。

「そっか。エミルとマルタは知らないんだっけ。…昔の、仲間でさ。今はもうここに居ないんだけどな」
「そう、なんだ……」

自分よりロイドの事を理解していて、自分よりもロイドの信頼を得ているのだろう。彼をこんな表情にさせる、その人物は。
一体、誰だろうか。

「「────私はクラトス・アウリオン。デリス・カーラーンと共に最果てへ向かう者。」」

ふと、いつの日にか、世界樹の前でした会話がふと思い出された。何故、この会話が思い出されたのかはわからないが、もし、そうなら。
もし、彼が、そのクラトスという人物を求めているのなら、きっと叶わぬ夢なのだろう。
ユアンとクラトスとの会話からは、クラトスと二度と会えぬ存在になるという事がわかった。そして、それをロイドに言わないでほしい、とも。
今ここでそれをロイドに言ったとしても、きっとユアンとクラトスはそれを知らないだろう。誰も、エミルを咎める者はいないだろう。
けれど、もし自分が言う事で誰かを変えてしまうのなら。それは良い意味でも、悪い意味でも駄目なのかもしれない。

「あ、そうだ。ロイド。明日はまず何処から行こうか?」
「ん、ああ。……そうだな……」

自分からは、その先を言う事はない。自分が彼の信頼を得て、すべてを彼が話してくれるまで。
その時まで────…













その時まで、待つ。




会ってから、まだ間も無いかもしれないけれど。
僕が君の信頼を得られるかどうか、わからないよ。けど、

それでも僕は、君を信じてる。

































という事で、クラロイ寄りの、もしくはエミロイの様な、はたまた別のような感じが予想される連載第一話。
一話なので、少し短めに、と。
ロイド、エミル、コレット、マルタが、エクスフィアを探す旅というパラレル捏造。
と、いってもクラトスさんが出ないわけではありません。クラロイに幸せを、をテーマに連載します。
いつ完結するかわかりませんが、どうぞお付き合いくださいませ。