いつまでも、願う。
   
これからが、本当の。

 

 

翌朝、不機嫌顔で起きた面々は、朝食を摂り、ツォンの部屋に居た。

「場所は、昨日の荒野だ。見たこともない、情報もないなかだ。いつもより用心する様に。行くぞ」
「「了解」」

す、と全員立ち上がる。それぞれ武器を確認してからしまった。
村にあった一台の車を借り、レノが運転しながら荒野へと向かう。
来た道を戻り、何もない荒野へと着いた。

「さて、ロッド」
「へ? え、あ、はい?」

車を降りて間もなく、ツォンがロッドに向き直った。
ロッドはというと、突然呼ばれた事に戸惑いを隠せないでいる。
ツォンが笑顔で言った言葉は。

「お前が囮だ」

 

 

そのモンスターはというと、何の武器も持っていない、一人に反応して姿を現すという。
また血を好み、血にも反応するらしい。
ロッドはたった一人、ぽつんと荒野に立っていた。
武器も持っていない丸腰の状態で、だ。
まるでロッドの虚しさを表すかのように、ビュオォ、と風が吹いた。

「な、んで…俺が…」

そう同じ事を言ったら、返ってきたのはお前に拒否権はない、という一言。
ザックスやレノにいたっては「囮っぽいもんな」……どういう事だ。
ロッドはぎり、と拳を握った。はー、と溜息を吐く。
諦めたロッドは、仕方なく言われた通りにナイフで人差し指を薄く切る。
じり、鈍い痛みが走り、じわじわと血が出てきた。
それを、地にゆっくりと落とした。

地面を割って飛び出てきた飛行大型モンスター。
両翼をばたばたとはためかせ、ロッドを上空から見下ろす。

「でっか……」

唖然したつかの間、背後に何かの気配。
振り返りざま、空を切る音が聞こえた。
飛んできたのは、自分愛用のロッドだった。恐らくレノが飛ばしたのだろう。
愛用のロッドをかまえると、ザックス、カンセル、レノ、シスネが隣に次々と降り立ち、
各々武器をかまえた。

「囮お疲れさん」

ザックスがに、と笑み大剣をかまえ地を蹴る。
カンセルも同じように地を蹴り、武器を振り下ろした。
レノはサンダガを詠唱し、シスネは手裏剣を遠距離から器用に飛ばす。
そんな光景を見て、ロッドはふつふつとこみ上げる闘志に笑みをこぼした。

 


「はぁ…にしても、でかかったな」

カンセルが言うと、うんうんとザックスが頷く。
モンスターは無事駆除した。今は地に伏せているモンスターをツォンとレノが調査している。

「あれ、って事はこれでおわりー?」
「もう少し、このメンバーを楽しみたかったわね」

ザックスの言葉にシスネが同意した。
任務が終われば帰らなければならない。
少し残念だが、神羅に属する以上仕方のない事だ。
今日まだ帰らなくても良いだろうが、恐らく翌日帰還になる。

「じゃ、今日は楽しむかぁ…」

ロッドが頬づえを岩に着く。
カンセルが、「そうだ」と口を開いた。

「戻ったら飲みにでも行くか」

いいな、それ!とすぐ食いつくザックスとロッドはまるで、餌に食いつく犬の様だ。
くすくすと笑むと、犬達は首をかしげる。
なんでもない、と言えば特に気にする事もなかった。

「戻るぞ」

いつの間にか戻ってきていたツォンが、言った。
りょーかーい、とザックスが返し、次々車に乗り込んでいく。

 


「……」

レノは、眉をひそめ立っていた。
ツォンは調査を終えたあと、「御苦労」と言ってそのままザックス達の元へと戻って行った。
いつもなら任務を終えればすぐに任務完了の電話を本社にかける。
しかし、ツォンは電話を手に取りもしなかった。
何故だろうか。理由がある?それとも自分の考えすぎか。

「レノ?」

どうした、といつまで経っても車に乗ってこないレノをみかね、カンセルが声をかける。

「いや、なんでもないぞ、と」

恐らく、自分の考えすぎだろう。如何せん、この職業では仕方がない。
これが、職業病というやつか。
レノは自嘲気味に笑った。

 


夜。ツォンが使っている部屋で、5人は談笑していた。
他愛もない会話。よく本社のエントランスでばったり会った時に話すような、内容。
そんなやり取りが、一番心地よい。

「ぁあ、そういえば。ツォンさん、明日帰還…ですよね?」

カンセルが机に向かっていたツォンに言うと、ツォンは浮かない表情で、くるりと振り返る。

「そうだな。もういいだろう」
「え?」

ツォンはぱたん、と書類の束を閉じた。
いつもと違う雰囲気に話声は静まる。

「ツォン…さん?」

シスネがツォンに恐る恐る聞いた。

「……いいか。これから、『任務』について説明する」

一番最初に感づいたのは、シスネ。レノ、カンセルと理解する。
説明が進むにつれ、一同の表情は冷たくなっていった。

 


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09/09/27-
シリアスまっしぐらです。
ほんと、駄文で申し訳ないです。