いつまでも、願う。
  
平和の"あかし"

 


シスネは一人、岩に腰かけていた。
村から少し離れたこの場所にいると、真下にある海の匂いがする。
ザックスやカンセル、レノ、ロッドはシスネが居る所から少し離れたところで
『素手』でやりあっている。タークス達のほうはジャケットを脱ぎ、ワイシャツの袖をめくり奮闘していた。
それはとても楽しそうで、シスネの頬も緩む。

「なぁー? シスネもどうだー?」

ザックスの声だ。シスネは片手をあげ首を横に軽く振る。

「私はいいわ。ここにいる」
「そうかー?」

ザックスがシスネのほうを向いた隙に、レノがザックスに蹴りを豪快にかます。

「よそ見してんじゃねぇぞ、と!」
「ちょ、わっ!? てめ、汚ねぇ!」

シスネはその光景にくすくすと微笑む。

「がんばれー」

そのシスネの応援に、応、と答えるようにザックスが背をむけたまま右手をあげた。


最近、タークスやソルジャー達は反神羅の殲滅で忙しく、本社に缶詰状態が日々続いていた。
やっと解放されたかと思い命令された任務は「モンスターの駆除」。
果たして貴重な戦力であるソルジャー1stと2nd、タークス達を使うほどの事なのだろうか。
それに加え任務遂行期限はなし。好きなだけのんびりしろ、と言っている様なものである。
働き詰めだった6人に対しての配慮かもしれないが、それにしても度が過ぎていた。
勿論、最初はそれを気にしたが、4人には口にしていない。
ツォンにそれらしい事を一度言ったが、「わからない」と返されただけだった。

そう言われてからシスネは考えるのをやめている。
「のんびりしろ」と言われたならのんびりするだけだ。

シスネは、足元に手を伸ばした。
そこには、宿の主人から渡されたサンドウィッチが入っている籠がある。
それを手にして、腕時計を見た。
1時少し過ぎ。丁度良い時間だ。

「ねぇー? 昼ごはんにしましょう?」

少し声を張り上げると、4人はぴたりと動きを止め、小動物の様に走ってきた。

 

 

「なぁー? カンセルって見かけによらず強いんだな?」

ロッドがサンドウィッチを口に放り込みながら言った。
カンセルの持っている情報網は一言でいって、かなりすごい。
それはここにいる全員がよくわかっている事だ。
だから、どちらかというと戦闘ではなく指揮官向け…に見えるのだが、実際はかなり強くて。

「そりゃぁ、ソルジャー2ndだぜ? しかも1stに近い、なぁ?」
「まぁ、判断力だとか、知識だとかも影響されて2ndにいるけど、一応、実践試験もあるしな…」

ザックスの言葉にカンセルがそう言うと、レノも「へぇ」と一言。
この中で一番戦闘内で強いと言えば、ザックスであろう。
本人もそれをわかっていてか、本気では戦っていない。
それでも、レノやロッドからすると良い訓練相手にはなる。

「なぁ、カンセル」
「ん?」

レノが食べる手を止め、薄い笑みを浮かべた。
なんだ、とロッドとザックスは首をかしげる。

「情報交換、しないか、と」

レノの言葉にカンセルもにやりと薄く笑む。

「…高いぜ?」

ああ、なんて入り込めない空気なんだ、とロッドとザックスは冷や汗をかいた。

 

 


その夜。
シスネとツォンが一人部屋となり、残された4人はひとつの部屋に4人でいた。
6人来るから、と宿主は2人部屋を3室用意していて、残念ながら女性がいるとまでは知らなかったのであろう。
4人で2人部屋、つまりひとつのベッドで2人寝なければならない。
大の大人の、しかも男と。

「誰と誰が寝るんだよ……」
「知るかよ、と」

恐らく、シスネは隣の部屋で、もうそろそろ寝る頃だろう。
ツォンは明日の計画を練るからとかで、まだ起きている。

「えぇっと、まぁ、あれじゃねぇの。ソルジャーとタークスで別れるのが無難……?」

ロッドが恐る恐る口にすると、カンセルも「そうだな」と頷く。

「カンセル、ザックスは寝相悪いぞ、と」
「てめ、俺の何を知ってる」
「ああ、大丈夫。わかってるから」
「…おい」

レノが言い、ザックスの反論をまるで無視し、カンセルが返した。

「なんで俺が寝相悪いって決まってるんだよ」
「「なんとなく」」
「……」

はぁ、と盛大にザックスが溜息をつくと、こんこん、とドアをノックする音。
はい、と返せばひょっこり出てきたのはシスネだった。

「私、もう寝るから、静かにしてょうだいね」
「あいよ」

それだけ言うと、シスネはぱたん、とドアを閉める。

「俺達も寝るか」

ロッドが言うと、全員ベッドに潜り込み、数分後明かりが消えた。

 


次起きたのは翌朝ではなく夜中。

「ぃああああああああ!?」
「!?」

誰の声かわからない絶叫。
ロッドは隣で聞こえた絶叫に飛び起きた。
寝る時隣に居たのはレノ。という事か、この声もレノか。

「ちょ、レノ!? 何、どうした!?」
「ご、ご、ご、ご」

ひどく青ざめたレノの顔にロッドは驚く。

「ちょ、どうした…?」


ザックスとカンセルも起きる。と。

 

……かさかさ

 


「うぉおおい!?」
「なんかでかいのいるけど何!?」

見えたのは異常なでかさの黒光り。──気持ち悪い、物体。
レノは叫ぶ事を止め、無表情で銃を取り出す。
ロッドはそれを見て、焦りながらレノを必死で止める。

「あ、あぶないよ! それはあぶないと思うよ!」
「ブッ殺す……」

弾を装填し、ガコンと引く。サイレンサーも着いていないその銃は、撃てば凄まじい音が鳴る。
カンセルも少々焦りながら電気を着ける。しかし、床には例の黒光りが居ない。


…かさかさかさ


「ああああああ!?」

ザックスもそのでかさに仰天し絶叫。
カンセルに抱きつくように飛びつく。

「重い…」

一番冷静なカンセルに対して、レノは銃口を黒光りに合わせていた。
ロッドは撃たない様、レノの腕を抑えるが、突然のレノの異常な力には勝てない。

「「うるさい!!!」」

ドアをバン、と音をたてて入ってきたのは、ツォンとシスネ。
その表情は、あの泣く子をも黙らせる様な冷たい表情。
レノも驚いて、その手を止める。

「私は明日の為に徹夜で計画を練っていたのだが……、
その上まだ私の睡眠時間をまだ削るつもりか、小動物共」

ツォンは怒りをあらわにし、ぴくぴくを震えている。

「夜更かしは美容の敵なの。わかっているのかしら…貴・方・達…は?」

にっこりとシスネは微笑むと、腰のホルダーから銃をおもむろに取り出す。
サイレンサーを着けたその銃が、ピシュン、と音をたてレノをかすめた。
あたったのは、例の黒光り。黒光りは反動で裏返り、動きを止めた。

「「す、すいませんでした…」」

4人は、その日、2人の恐ろしさを知った。

 

 

 

 

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ザクレノなのか、ザクシスなのか、ロドレノなのか、レノカンなのか…
もうごちゃまぜで、萌えの補給以外何物でもありません。
中途半端なギャグで本当に申し訳ない……。

2009/09-10