前半1st組GZ+S+K+保護者。後半ザクレノ。

 

 

 


ザックスは黒いスーツを抱え、一人レノの家へと向かっていた。
レノがザックスに家へあがっていいと許可したのではなく、ザックスが勝手に入っているだけなのだが。

ザックスは黒いスーツをふと見て唸った。

「俺には無理だろ……」

 


馬鹿にするな

 


ザックスはカンセルとともにソルジャーフロアを歩いていた。
カンセルから耳よりな情報聞いては笑う。
流石カンセル。どこからか手に入れたのか神羅上層部の情報まで持っている。
あの上司が受付嬢と不倫してるだとか、普通身近な人でも知りがたい情報でさえ、だ。

「でさ…あ、そういえば。今度神羅の会議あるらしいぜ。そりゃもう大勢で」

カンセルの言葉にザックスは首をかしげた。
ザックス自身、会議の事だとかそういうのはよくわからないが
大勢でする会議とはまためずらしい。

「へぇ? うちらじゃでんのは統括あたりか?」
「? お前知らないのか? ソルジャー1stは全員出るんだぜ?」
「はぁああ? 俺が会議ぃ?」

なんとも突然な話だと思う。
ソルジャーは戦闘専門のはずだ。それについては誰でもわかっている事であろう。
会議なんて出ろ、と言われた事なんで皆無だし、あんなかたっ苦しそうなもの、
想像するだけでザックスはぞっとする。

「そりゃお前には向いてないよなー?」

カンセルはヘルメットのせいで表情はうかがえない様だが声は笑っていた。
少々馬鹿にされた気がしてむっとなったが、まぁ図星である。

ふと正面を見ると、アンジールとセフィロス、ジェネシスがブリーフィングルームから出て来たところだった。
これはまた珍しい。この3人が仲が良いという事は知っているが3人一緒にいるのを見るのは久しぶりである。

「ああ、ザックス。丁度いい」

アンジールがザックスに気付き、言った。
なんだ?とザックスは首をかしげる。
一応自分もソルジャー1stだが、この3人に入り込む余地は少ないと思うのだが。

「今度神羅全体で行う大掛かりな会議がある。
そこにザックスも出るから、一応言っておく。スーツ着用だからあとでブリーフィングルームへ取りに行けよ」
「え? まじかよ……」

どうやらカンセルの言っていた事は正しかったらしい。
がっくりと項垂れるザックスを見てジェネシスやクックと笑った。

「子犬は服の着方も知らないであろうな? 社交辞令などもってのほか。ククク……」
「ば、馬鹿にすんなよ!? 俺だってなぁ!」

声を抑えて笑うジェネシスは食いついた、とばかりにザックスを見た。

「ほう? ならば会議のソルジャー代表はお前にしようか……?」
「な、……」
「はぁ……、ジェネシス。あんまりからかうなよ」

アンジールはふぅ、と息を吐いて言った。まったくこの人は保護者という言葉が似合っている。
セフィロスはと言うと、特に何も言わず立っているだけ。
干渉するのがめんどくさいらしい。

「まぁいい。とにかく、ザックスは明日スーツを着用してくる事。いいな?」
「りょーかーい」
「子犬。着れないのなら今のうちに言っておけよ?」

まだからかおうとするジェネシスをアンジールがはいはい、とひっぱり連れ去っていく。
セフィロスも一瞬ザックスに視線を移し、その2人のあとに続いた。

「お前ほんとジャネシスさんのおもちゃ扱いされてんなー」
「う・る・さ・い! だぁあ、うぜぇっ」

けらけらと笑うカンセルを睨み、神羅ビルをでた。

 


そして現在に至る。
正直のところ、スーツは着た事がない。
出身地であるゴンガガでスーツなんて着る機会なんてないし、
一般兵にもソルジャーにも制服があるわけで着る必要なんてなかった。
白いワイシャツなら着れる。ボタンをとめて、下を吐く。そしたらネクタイをとめるのか?
あれ、ネクタイってどうやってつけるんだ?首に巻けばいいのか。そうだな、うん。
そしてジャケットを着る、と。
あれ、なんか忘れてる?うん?まぁ、大丈夫だろう。
脳内シュミレーションを終えたザックスはピッシリと脳内でスーツを着ていた。
満足そうにうなずき、上機嫌でレノの家へと向かった。

 

 


「たーだいまっ!」
「ここはお前の家じゃないぞ、と」

返ってきたのは冷たい一言。それでも返事はちゃんと返してくれるし、
家からだそうとしないからそれでもいい。そんな子猫ちゃんなんだからこの子は。
ソファに座り、なにやら厚い資料を呼んでいるレノ。
後ろからのぞきこむと左上に小さくタイトルが記載されていた。

「しん…ら会議」
「明日神羅のでけぇ会議あるんだぞ、と。その資料」
「ああ? 俺も行くぜ」
「へぇ……意外だな、と」
「レノも行くのか?」
「ああ。なんかツォンさんと主任とな。んで一応タークス代表になったから、確認だぞ、と」
「ふーん……」

資料をまじまじと見てるがよくわからない単語だらけで、ずらりと並んだ文字の羅列。
こういうのは嫌いだ。めんどくさい。

「んー、よくわかんねぇけど、がんばれよ!」
「おー」

生返事を返すレノの背をばしばしと力をいれずたたけば痛いと睨まれた。
やっと視線をこちらに移してくれたので嬉しい。

「シャワー借りていいー?」
「今更だぞ、と」

それを承諾とみなし、上機嫌で浴室へと向かった。

 


翌日。いつもよりはやく起きたザックスはスーツと睨みあいをしていた。

「あー? ザックス、お前なにしてんだよ、と」

その不自然極まりない行為にレノは首をかしげる。

「の、脳内しゅみれーしょん……」
「はぁ?」
「うーん……」

どうやらこれ以上相手をしてもどうしようもないと判断したレノは制服に着替えるため寝室へ向かった。

 


どうしよう。脳内シュミレーションでは完璧だったのにこのありさまだ。
ワイシャツはズボンからちらちらとだらしなく出て、ネクタイはただ巻かれて今にもほどけそう。
ネクタイの付け方なんて知るか。知らなくたってこっちは生きていけるんだちくしょう。
開き直ってみたが、どうしようもない。鏡で自分をみながら試行錯誤する。

「うー……」
「ぶっ、おまえなんだそれ」

リビングに入ってきたのはレノ。今回は重要な会議だからだろう。
いつもと違ってワイシャツのボタンをはずしているのは一番上だけ。
一応ネクタイもしている。ザックスとは違って巻くだけではなくきちんと、だ。

「わかんねー」
「お前着方もしらねぇのかよ、と」
「うー」

唸るザックスを見て吹いたレノは仕方ねぇ、とザックスのネクタイをスルスルと取った。

「お?」
「じっとしてろよ、と」

だらしないワイシャツをちゃんと伸ばして、ズボンをあげる。
ワイシャツのボタンをぴっちり止め、ネクタイを器用につけていく。

ザックスは何にも思っていないレノの見て赤面する。
か、可愛い!!
勝手に夫婦の朝のようだと興奮しているザックスをレノは知らない。

「ほら、できたぞ、と」

レノがザックスを見ると、にへら、と笑う。

「きもちわりぃな、オマエ」
「いやーレノが可愛くて」
「死にたいのか、と」
「めっそうもございません」

にこにこと笑うザックスにレノは溜息。

「俺はもう行くぞ、と」
「あー、俺も一緒に行く!」

後ろからがばっと抱きつくザックスにレノは口先だけで嫌がるも体は抵抗しない。

「ほら、さっさといかねぇと遅刻するぞ、と」
「レノの言える事かー?」

生意気なこいつにぺちりとデコピン。いて、と唸ったザックス。
バイクにまたがった2人。ザックスは後ろからレノを抱きしめた。

 

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ザッ君受けも好きですv

2009/09-10