黒×赤 赤×黒



日は沈み、午後8時。暗い空に、建物や家々の明かりが輝く。
ソルジャー・クラス1stのザックス・フェアは、任務を終え、神羅ビルのタークスフロアへ
足を運んでいた。
ソルジャーとタークスは犬猿の仲だとか、タークスなんて皆真っ黒。そんな話を聞いていたが
実際はどうやら違っていたようで。
タークスと初めて任務をともにしたのは、タークス主任の、ツォン。
そこまでやるか、とは思うこともあったが、決して悪い奴じゃない。
今になっては一緒に飲みに行くし、ビル内であえば談笑雑談もする。
ギャングあがりのロッドも、神羅では数少ない女性のシスネも、
今やツォンと同じ仲間であり、こういうのは変かもしれないが、大事な友達。

今夜も、この3人と飲みに行く予定だ。
エレベーターでタークスフロアへ行き、降りる。
オフィスの明かりはまだ沢山ついていた。

「よーっ、来たぜ」

オフィスに入れば、シスネが「あら、いらっしゃい」と笑みを投げかけてくる。
ロッドは既に仕事を終えていたようで、待ってましたとばかりに立ち上がり、「よおっ」の一言。
ツォンもこちらに視線を移し、何も言わないが開いていた書類の本を閉じた。
他に、禿頭のグラサン男と、赤毛の刺青がいて、しかしこちらには興味を示していない。
どうやら他のタークスは帰ったようだ。

「さて、行くか」

8番街のいきつけの飲み屋へと行く予定で、ツォン、ロッド、シスネと順に立ち上がる。

「…どうだ、レノ、ルード。二人も来るか?」

デスクワークをこなす二人をみてツォンが声をかけた。
レノ、と呼ばれた赤毛が顔をあげる。

「命令なら行きますよ、と」
「……そう言うな。仕事疲れの癒しだ。それにザックスの奢りだぞ」
「そうそう……って、いつ俺の奢りになった?」
「今だ」

さらりと言われ、ザックスは溜息をつく。
こうなっては仕方ない。今日は奢っておこう。

「だそうだ相棒。行くか、と」
「わかった」

レノが言うと、ルードは頷き書類を鞄にまとめはじめる。
それを終え、二人も立ち上がった。

「えーっと、レノ……とルード! よろしくな!」
「ソルジャーと慣れ合うつもりはないぞ、と」
「よろしく」

レノは冷たく言い、ルードは返事をし、差しだされた手を軽く握った。
ザックスにシスネが小さい声で囁く。

「レノはこういう人なのよ。ごめんなさいね」

その言葉にザックスは苦笑した。

 

 

オフィスの扉を豪快に開け、「よーっ、来たぜ」の一言。
誰だと思えば、ソルジャー1stの服を身にまとった黒髪の男。
たしか神羅兵器が暴走した時に8番街にいた奴。
「8番街はタークスの担当だぞ、と」そう言って一蹴したっけ。
そんな事考えてると、ロッドとシスネが友好的な笑みで迎えている。
なんだ、お前ら仲よかったのか?
そうかと思えば『あの』主任が笑みを浮かべてソルジャーと話している。
4人で楽しそうに。なんなんだあのソルジャー。
ばれないよう耳を澄ませば、ザックスという名前で。
ザックス・フェア。そんな奴ソルジャー1stにいたな、と一人で納得。

犬猿の仲だとか、そんな話に流されたわけじゃないが、ソルジャーは好きじゃない。
戦うだけの兵器。そんな事タークスが言えた事じゃないが、そんな様なものだろう?
任務で一緒になるソルジャーとはほんと、なんか近くにいるだけの存在。
終わって「お疲れ」の一言も言わない。もちろん、それをわかってかソルジャーのほうも言わないが。
なのにあいつはどうだ?タークス相手にあの笑み。本当にソルジャーかと疑う。

ちらちらと気づかれないように視線を移していると、ふと声がかかった。

「…どうだ、レノ、ルード。二人も来るか?」

突然の声にびくりとしたが、冷静を保ちつつ声を発する。

「命令なら行きますよ、と」

皮肉こめて言ったが相手はツォン。受け流された。
ソルジャーのほうは承諾していない様だが要は奢り。ならば飯代が浮く。
相棒も頷いたので席を立った。
するとソルジャーがこちらに視線を移し口を開く。

「えーっと、レノ……とルード! よろしくな!」

馴れ馴れしいソルジャー。……ったく、うぜぇ。

「ソルジャーと慣れ合うつもりはないぞ、と」

そう言えばあからさまに残念そうな表情になるソルジャー。
……変なヤツ。
相棒は手を握り返してやってて、まぁなんともお優しいヤツだ。
ソルジャーは握り返されて俺のときとはうってかわって嬉しそうな顔。
ころころ変わる表情の奴を見て、小さく笑う。

「レノ……あんまり遊ぶなよ」

俺の笑い声を聞いてか、相棒はあきれながら言った。






 

2009/08